このたび学院の人事異動により、追手門学院幼稚園に園長として転出致しました。
小学校で直接教室で接した約2000名の生徒・卒業生諸君に育てられ、保護者の皆様にも支えて頂きまして、何とか大過なく34年間を過ごすことができました。心より感謝しております。
教師として、子どもたちへの指導現場で判断の基準にするものは、自分の人生観に委ねられる場合が多いもので、マニュアルで処理できる部分は限られていると思います。私は、歳を重ねるにつれ、自分のような未熟者が人の人生に影響を与える可能性が大いにあるこの仕事についていること自体に、畏敬の念が深まるばかりでした。 私は、追手門学院小学校の児童目標である『高い学力』『強い体』『ねばり強い心』『親切』を、学年に応じた内容と言葉で子どもたちに語りかけてきましたが、小学校を去るにあたり、この4項目を反芻してみますと、全てのものに通ずる普遍性のある言葉だと再認識致しました。追手門学院小学校の教育の奥深さを痛感した次第です。
さて、このところ幼児教育界では、親の生活スタイルやニーズの変化、少子化などにより、国の施策や制度に変化が見られるようになりました。例えば、幼稚園と保育所に両方の要素を加味しようとするものです。社会の変化に対応した多様性が求められています。
追手門学院幼稚園は、ベテラン教員の豊かな経験や見識と、若手教員のそれらを吸収しようとするひたむきな姿勢とがとてもうまく調和し、レベルの高い保育活動が展開されています。時代が変わろうと人間としての基礎・基本は、それほど変化するものではありません。開園以来34年、『基礎・基本を大切にし、ねばり強く指導する』という姿勢が貫かれていることは、小学校でいう『厳しい躾』と合致するものであります。今まで以上の強い連携を図ることを積極的に進めていきたいと考えております。
学院が創立120周年を迎える6年後、幼稚園は創立40周年を迎えます。今夏、記念事業の端緒として新園舎の建設工事に着手します。幼稚園での保育は、遊びと学びの中で様々な体験ができる環境を園児に与えることが大切です。新園舎には、今までの保育経験を生かしたいろいろなアイデアが盛り込まれており、私たちが考えている理想に近づくことができる素晴らしいものになります。
私は、『熱意・誠意・創意』を心に、幼児教育に邁進する所存でございます。今後とも会員の皆様のご指導とご鞭撻をよろしくお願い致します。
『園舎お別れ会』を7月19日(土)午前10時より幼稚園で行います。5505人の卒園生を育んでくれた現園舎に、感謝と惜別の気持ちを表したいと思います。
卒園生の方、お気軽にどうぞお越しください。
(駐車場はありませんので、ご配慮をよろしくお願いします。)
2003年6月30日