吉川航史(小104期・大中47期・大高47期)
私は大阪市中央区心斎橋で「新明石」というメインは河豚の料理屋を営んでおります。私で4代目で昭和5年の創業以来続いております。
”ミナミ”と呼ばれるこの地域もこの度のコロナウイルス、それに伴う緊急事態宣言で過疎地のような状態でしたが最近は人も増え、活気を取り戻しつつあります。
正直コロナウイルスも初めは半年もすれば終わるものと高をくくっていましたが、これほどの事態となり、当店も現実問題かなりの数のキャンセルを受け、例年であれば必ず来て下さるお客様もこれずの状態で、その結果忙しい月も閑古鳥状態でした。
それだけに売り上げも下がればモチベーションや気持ちが削がれたのは否めません。しかし”逆に言えば時間がそれだけ出来た”ということだとこじつけでも何でもいいから自分に言い聞かせ、毎日店に行ってまずは店の内部に普段より目を向けて
1,普段掃除しきれていないところはないか?
2,老朽化して修理、取り換える部分はないか?
3,配送の注文を承るためにはどうしたらいいのか?
4,こんな状況下でも来て下さったお客様にどうやったら感謝の意を伝えることができるか?
等々をとにかく目についたこと、気が付いた事、ふと思いついた事を全て、大なり小なり意味があろうが無かろうが直筆で思うがままとにかく書き並べました。
(スマートフォン等のようなデジタル機器ではなく直筆でメモ帳にでもササっと書く、の方を個人的にお勧めします)
そしてその全てを実行致しました。
自分で掃除できるところは全て時間がかかってもやり、業者さんの手を借りなくてはならないのは直接相談して意見を聞き、配送に関しては種類数を増やし限定価格で値段も下げ、注文やこのご時世でも御来店して頂いたお客様全員に手土産と
直筆で感謝のお手紙を書いたり、としていく中で、「状況にあぐらをかいていたな」、という反省といかにお客様が来て下さること、発送の注文を頂けるということそのものが決して当たり前のことなどではなく”有難い”という”それこそ当たり前”であるということをヒシヒシと感じました。
「キツイ道と楽な道の二通りあるんなら迷わず前者を選べ。前進しながら決して脇目をそらしたり振り向いたりするな。そうすれば理解者や協力者が必ず出てくる。どんな仕事であれ、結局は人間対人間なんやから。」ある方から言われた至言です。
自分はこの言葉はまだまだ把握しきれていません。そしてまだwithコロナという不透明な状況は続きます。
今年中にもまた緊急事態宣言が出ないとも限りません。
だからこそ気持ちを冷静に構え、”人と人との思いやり”を重んじながら前進して参ります。
(新明石 店主)