恩師のいま、ですよね。あまり「恩師」というような活躍はしてこなかったように思います。まったくもって頼りなかった赴任当初を知る高校51期、52期の皆さんからすれば、「ようえらなれたもんやな!」と言われることと思います。中学34期から46期の皆さんからは、「えらい丸くなったもんやな・・・」でしょうね。あの頃は毎日が戦場のようでしたね。その日を生きるので精一杯で、1秒1秒が全力投球でした。それでもあの頃のことは自分にとってとてもいい思い出であり、根っこを育んでくれたかけがえのない時期です。47期・48期+高校68期の皆さんには何と言われるのかな?あの頃はNEW TREASUREでAll Englishっていう、誰も考えなかったことをやってみたり、国際講座をみんなと作っているうちにSDGsと出会い、真剣に世界のことを考えるようになりました。世界平和が人生の目標になったのもこの頃です。学外にもたくさん友達ができ、いろんな人たちからちやほやされて調子に乗っていた時期です。そうこうしているうちに、気づけば追手門一筋22年。
近況を伝えねばなりませんね。変化の加速度が増し、予測困難な世の中の流れに取り残されそうになりながらも、自分なりに新しい取り組みをしています。コロナ禍直前の2年間は、夏休みを利用して海外の学校で授業実践をしてきました。フィリピンではシティズンシップ教育、ルワンダでは平和教育。そこで出会ったステキな生徒たちと日本の学生をつなげる誓いを立てました。色んなことをコロナ禍のせいにするのは嫌なので、無理やりにでもオンラインに可能性を見出し、結果日本にいながら海外とつながる、「本当の意味でのグローバル」の可能性に今は夢中です。オンラインの力を借りれば、大阪にいながら海外の学校で授業をしたり、海外の生徒たちと追手門のステキな生徒たちをつなげられることに気がつき、ここ2年でインド、マレーシア、アメリカ、台湾、オランダ、韓国の学校と追手門の教室をつないできました。どこか国際教育を海外研修や留学に頼ってきたこれまでとは決別ができそうです。
振り返ると、若い頃からたくさんの失敗をしてきました。生徒を傷つけただろうことも、保護者の方に不信を抱かせることもたくさんありました。様々な出会いがあり、巣立ちを見送ってきました。その度に、僕とかかわってくれた人たちがそのかかわりを誇れるような人間になることを誓い、自分をアップデートしてきました。私がこれまで追手門で学んだこと、それはやはり、「人とのかかわり」だということに、筆を進めている中で気がつきました。追手門でのこれまでのすべての出会いに感謝します。
田橋知直