withコロナ , 卒業生だより

withコロナ~闘う卒業生~ vol.001

黒田 真樹(旧姓:森田) 茨高34期 追大(文学部・社会学科)21期

私は、学校を卒業した後 「誰かの役に立ちたい」「自分を必要とされたい」との思いから社会福祉の道に進みました。当初20年余りは、「児童養護施設」で子どもたちの成長を見守り支援してきました。現在は別法人ではありますが、神戸市内の介護保険施設で管理者をしております。


介護保険施設では、ご家族より利用者様をお預かりしているので、今までも感染症には留意をしており季節によりインフルエンザやノロウィルス等が流行すれば、しばしばご家族との面会を中止したり、ショートステイや通いサービスをお断りすることもありました。しかし、今回の「新型コロナウィルス感染症」の流行は、まだわからないことも多く、何より恐ろしいのは、無症状の罹患者がいるということです。職員は、皆一同に、利用者の「その人らしさ」を実現するために日々のケアに当たっていますが、支援する側の自分たちがもしかするとうつしてしまうのではないかという気持ちを抱きながらケアを行わなければいけないという毎日です。当然のことながら、手洗い、うがい、マスク、検温、消毒、換気など、気を付けてもやりすぎということがないほどの恐ろしさです。
また、感染の恐怖よりも私自身が今、悩ましいと思うのは、ご家族やご友人との交流です。施設を利用してくださっている方は、介護を必要としており、持病をお持ちの方がほとんどです。元気に見える方であっても急に体調に異変が起きお亡くなりになる方もおられます。感染のリスクはとても高いため「命を守る」という観点からは「面会」「外出」「外泊」を制限すべきですが、自分らしくありたいという、人権を護る観点からは、どこまで制限すべきか交流の手段を探っていくことだと思っています。世の中が命を守ることと経済を回すことのアクセル、ブレーキがよく議論されていますが、私にとってはどちらが是か非というだけでなく、「折り合い」をつけ「ご本人にとっての『最善の利益』」がどのあたりか考え続ける日々です。
もう、師走となりこの1年を振り返ったとき、あっという間に過ぎていったように感じます。「自粛、自粛」と窮屈であった半面、自分の周りとの関係を見つめなおす、立ち止まることのできた大切な1年であったと思います。これからも、まだまだ気は抜けませんが、まずは自分を大切に、強いては少しずつでも周りの方を大切に想い新年を迎えたいと思います。