大手前中・高等学校 , 恩師のいま

大手前中高 藤川誠先生

 本校に非常勤講師でお世話になってから、はや7年の歳月が経ちました。私の教師生活の大半を過ごすのが本校であることを心から嬉しく思っています。
 赴任初年、53期生のエクシードクラスの授業を担当しました。思えば、自分のスタイルが確立されたのはこのクラスのおかげといっても言い過ぎではないかもしれません。また、追手門大手前という学校を好きにさせてくれたのもこのクラスです。教員になって初めて担当する高校3年生ということもあり、初めて教室に入るときはかなり緊張していました。「いきなり大きな声を出すからこわい」とか「話し方がエラそう」とかいう感想を一回目の授業が終わった瞬間に言ってくる生徒もいましたが、その距離感の近さが私にはとても新鮮でした。また、会ってまだ間もない頃から、大学受験の相談や英語の質問に西館の第二職員室に来ていた生徒たちを思い出します。受験指導という意味ではあまりお役に立てなかったかもしれません。至らなかったそのことを今でも悔いることがあります。
その年の卒業式で、担任団の先生方と感涙の握手をして巣立っていく彼らを見ながら、もらい泣きをこらえていました。この学校の生徒は、この学校を本当に好きになって卒業していくんだなと感動しました。
 教育改革という名の下、時代と共に本校は大きく様変わりしました。近代的で美しい校舎が建ち、また錦城祭が立ち上がり、年々盛り上がりを増していくように思います。その中で、新しくなった職員室は私の誇りでもあります。もしかしたら皆さんがご存知の先生方のうち、現在こちらにはいらっしゃらない方もいるかもしれませんが、お時間があればぜひ一度この活気あふれる職員室にいらしてください。私はもはや若手と呼べるような年齢ではなくなりましたが、フレッシュな風を吹き込んでくれる二十台半ばの先生から経験豊富な年配の先生まで、フットワークは軽くまたチームワークも良く、いつも笑顔と、生徒や授業の話に溢れています。私にとってはここは「職場」ですが、生徒にとってもこの職員室が明るくて、楽しいものであることは学校生活を送る上で安心できるのではないでしょうか。
 現在は61期生を担任しています。厳しく指導をしているつもりですが、その胸のうちには実は「多くの卒業生のように、この学校を好きになって卒業してくれたら良いな」という思いがあります。もちろんそれだけでは不十分かもしれませんが、母校を誇りに思う気持ちは大切にしてもらいたいというのが本心です。若く豊かな感性で、しんどいことも辛いことも、もちろん楽しいこともたくさんたくさん経験して実感して、すばらしい卒業式を迎えてほしいと切に願います。
 毎年2学期に、教育実習生がやってきます。指導教官の先生方と実習生のやりとりを横目に見ながら、やはり教師と生徒の関係は簡単に途切れるものではないと感じます。この職員室で、私が担任した生徒と共に仕事し、同じ教室に立つことが私のささやかな夢です。

大手前追手門学院大手前中学校 英語科 藤川誠