図書室の専従として、生徒に対しては、読書指導、調べ学習の資料の提供、ビデオの上映会を、教師に対しては、授業に必要な資料の提供などをしています。
読書指導の一部として、本校の生徒も毎年全国読書感想文コンクールに作文を提出して頑張っています。2004年の6月19日(土)、毎日新聞に読書感想文コンクールの課題図書を紹介する記事の執筆を依頼され書きました。その一部を紹介します。
『 追手門学院大手前中学校
古坂 博一
読書感想文コンクールの課題図書が決まりました。中学校の部の課題図書は次の3冊です。
1.「エドウィナからの手紙」(ス ーザン・ボナーズ-金の星社)
街で危険な遊び場を見かけたエドウィナは、なんとかしなくてはと、大金持ちのおばさまになりすまし、市長に手紙を書くことにしました。これが市長の気持ちをくすぐり、意外にも大成功!遊び場が改善されたのです。大よろこびのエドウィナは、次々と街の問題を見つけだしては何通もの手紙を書きました。すると、街は魔法のように変わっていったのです。しかし、ついにウソのばれる日がやってきました。”……』
本の紹介だけではつまらないと思い以下のようなエッセイを記事の最後につけました。
『ふと、我に還った私の目の前を、淡いピンク様のものが舞っていました。あたりは闇。数個の街灯が谷間の駅のベンチを照らしていました。ホームの向こう側は谷底まで断崖が続いています。谷川の流れはここまでは聞こえてきません。
時々、快速列車が通過していきます。私は文庫本を読んでいました。桜の季節に、この駅で途中下車して、ゆっくりと桜を…と十数年間、思ってきました。ようやく今年は夢が叶ったのです。
各駅停車が駅のホームに入ってきました。田舎の駅は降りる人も、まばらです。
全巻100巻という、グインサガの小説の副主人公、アルド・ナリスの死を告げるには桜は相応しいかもしれません。
さあ、もう、終電車も近い。早く平群の家へ帰ろう。さようなら私の桜吹雪。さようなら、アルド・ナリスの魂よ。
今日は駅のベンチが私の図書館でした。あなたの図書館はどこにありますか。』
本当はこんな風に本にまつわる話を時々、大人が子供に話してあげると子供は案外、本を読み始めるものだと思っています。本を読むっていいですよ。
2005年7月1日