支部長 畳谷 久仁子
「少女の歩む人生は彼女自身が選んだ道であってほしい」と言う思いから始まった「ミャンマー・スタディーツアー」は全ての子どもたちが学校に通い、教育を受けて、「自分で自分のことを考えることが出来る力をつけてほしい」と願って来ました。
乾季には水の確保が困難で、毎日遠くまで水を汲みに行くのは子どもたちや女性の仕事です。そのために、学校へ行く時間も、経済的余裕がないのが村の現状です。
また、汚い水を飲料水に使用するために、水源起因の病気での死亡率が高いのです。
私たちは子どもたちの衛生状態を改善するため、また、教育の機会を持ってほしいために井戸の提供や手洗い、歯みがき指導などをして啓蒙活動を行ってきました。
しかし、活動を続ける中、国が、行政が動かなければ、根本的なことは変わらないというのも事実で、自分たちの力の及ばない空しさも感じていました。
私は、アウンサンスーチーさんの著書*「ビルマからの手紙」の中で「ビルマの子どもたちに対するわれわれの夢は、健康管理の改善と教育の向上」と書かれているのを読んで、私たちの願いを託すリーダーは彼女だと思い、お会いできる日を長年、望んでいました、
幸運なことに、昨年より、ミャンマーに民主化の兆しが見え、1月2日に民主化運動の指導者であるアウンサンスーチーさんと会談する機会をいただきました。
各国の首脳が先を争って面会される中、外国の少女たちが会うことは異例のことです。
ガールスカウトのミャンマーでの活動やオレブ賞受賞が評価された結果です。
第5期の参加者たちは臆することなく、自分たちの考えや気持ちをお話しし、スーチーさんは一つひとつ丁寧に、的確に、わかり易く答えてくださいました。
ガイドだったスーチーさんと一緒にガールスカウトの“サイン”をして絆を深めました。
と同時に、私は政府・与党の連邦団結発展党(USDP)のテーウー総書記とも再会することが出来ました。10年以上前にエアワディ管区、パテインの村で井戸を提供する事業を許可下さった軍司令官で、「当時は外国人が村の中で事業をすることについてはいろいろな意見があり難しかったが、私は国民のためになると思って許可を出しました」と話されました。 政治的には両端にいらっしゃるお二人ですが、どちらも国民のために努力されている偉大な方だと尊敬しています。
1月4日はミャンマーの独立記念日でした。「自由」と言うイベントで見た短編映画、
“水槽に飼われていた魚が、偶然、雨であふれた水で水槽の外に飛び出し・・・”
私たちにとっての「自由」とミャンマーの国民にとっての「自由」は重さが違います。
「20年間、その言葉すら口に出していうことが出来なかったミャンマーの人々。あなた方はその意味が解りますか?」通訳のミャンマー人の青年の熱い言葉に私たちはただ、涙するだけでした。
第5回目の研修も参加者に貴重な経験と深く考える機会、前に進み勇気を与えることが出来たと思います。
* 「ビルマからの手紙」アウンサンスーチー著 毎日新聞社発行
* 平成24年1月2日 11時30分~12時45分
ヤンゴン 国民民主連盟(NLD)事務所にてアウンサンスーチーさんと
第5期ミャンマー・スタディーツアー参加者と支部長が面談
* 平成24年1月2日 16時45分~18時
首都ネピドー 与党・連邦団結発展党の党本部にてテーウー書記長と支部長が面談